おとなの亀頭包皮炎

 亀頭包皮炎とは、ペニスの先とその先を覆っている包皮の炎症を指す言葉です。かゆかったり、痛かったり、じくじくしたりする病気です。いくつかの原因と病態があり、それに応じた治療が必要です。

 まず多いのが、洗いすぎて皮膚を守っている皮脂を洗い落としてしまい、尿のしずくが症状を起こしている場合です。この場合はステロイド軟こう(もしくはローション)を使い、洗いすぎに注意し、尿のしずくをしっかり切ることでよくなることが多いです。皮膚がもともと弱い人などはなかなか改善しない場合もあります。感染を伴う場合は抗菌剤を使用することもあります。

 次に真菌が付く場合です。簡単に言うと、水虫のようなカビの仲間(=真菌)がつく場合です。性交渉でなる場合もありますが、そうでない原因が多いです。水虫ではスリッパなどをわけないといけませんが、水虫の人のスリッパに触れなくとも水虫となってしまうこともあるのと同様です。

 最近よくみられるのが糖尿病性の亀頭包皮炎です。糖尿病では末梢の循環が悪くなることがありますが、特徴的な縦のひび割れが起こります。皮膚は硬くなりめくりにくくなります。ほかの自覚症状が全くなく、検診も受けておらず、このような症状がみられて初めて「まあ血糖を測ってみましょう」といって、重症の糖尿病が見つかることも何度もありました。

 同じひび割れでも、横に沿って割れるのは、包皮の先が狭く、引っ張られて起きる場合があります。この場合はめくったままにせず、狭いリングを包皮の先に戻しておいてステロイド軟こうを処方することでよくなることが多いです。

 正直にいいますが、診てわからないことも時々はあります。わからないながらも、経験から「まずはこの治療から試して」ということもあります。皮膚科の先生に診てもらったほうがいいと紹介することもあります。ただ、勤務医時代より4・5倍の外来数を診ている今だからわかることも増えています。お互い得意分野で助け合いながら仕事をしていければと思っています。