おしっこの検査でわかること

おしっこの調べ方

 おしっこは体の老廃物ですが、これを調べることによりさまざまなからだの異常がわかることがあります。通常、会社などで行われる検診では、コップに採った尿にテストテープをつけ、尿中の潜血(わずかな血液の有無)・蛋白pHなど(ほかにもケトン、ウロビリノーゲンなど)を調べます。

 泌尿器科では必要があればこれに加えて尿沈渣(ちんさ)を調べています。これは10mlほどの尿をとり、遠心分離機で固形成分を沈めたあと上清を捨て、そこに沈んだものを顕微鏡で見て調べる検査です。潜血が陽性でもこちらが異常なければ大丈夫であったりもしますし、尿を詳しく見るためには欠かせない検査です。

おしっこの検査でわかること

 おしっこは体調の変化によりさまざまな異常が現れます。またその変化を比較的簡単に、すぐに調べることができます。なにより、血液を採ったり、カメラを飲んだりするのに比べて楽に安く検査を行うことができるのです。

尿中の糖

 糖尿病は恐ろしい病気ですが、初期の段階では無症状です。血液中の糖を測ればいいのですが、何らかの形で血液をとらねばなりません。スクリーニングといって、まず尿を見て、ここに糖が陽性になった人にだけ血液検査をすることで、無用な苦痛を避けることができます。

尿中の蛋白

 腎炎ネフローゼなど腎臓の働きが悪くなる病気では初期に尿蛋白がでてきます。このような異常を早期に知り、精密検査をし、腎の働きが悪くなるのを防ぐことが大切です。

尿中の赤血球

 よく尿に潜血がおりた、という表現をします。

 尿に血が混じるのは、膀胱がんや腎がんなどの症状であることや、若い人では腎炎の初期症状であることもあるので、注意が必要です。

 ただし、尿潜血をテープで調べるだけでは異常がない人も陽性にでることがあります。これはテープの感度がよすぎるためです。テープで陽性が出たら、次の検査として、尿を遠心分離して赤血球がどれくらいの量含まれているのかを検査することが必要です。

 詳しい尿の検査でも陽性に出た場合は精密検査が必要となりますが、CT、膀胱鏡をするかどうかは血尿の程度、その他の症状、年齢、希望などさまざまな要素を考えて決めなければなりません。病院によっては見落としを恐れてすべての検査を勧める所もあるようですが、苦痛や費用を考えると正しい方向とは言えないように思います。

 尿路結石を診断する上でも大切な検査です。

尿中の白血球

 いわゆる(うみ)が尿にまじることで、膀胱や腎盂(腎から尿を集めるところ)に感染がないかどうか調べることができます。膀胱炎腎盂腎炎の検査に大切です。また治療がうまくいっているかどうかをみるのにもよい指標になります。

 他にもいろいろなことがわかりますが、上の4つが代表的なものです。

尿道炎の診断

 病院から診療所に移って驚くことのひとつに、尿道炎の多さがあります。ほとんどは淋菌クラミジアによるものなのですが、幸いそれぞれに特効薬的な薬があり、きれいに治すことができます。

 患者さんが来院するのがためらわれる理由のひとつに、ペニスを見せたくない、尿道にものを入れられたくないというのがあるようです。以前は確かに綿棒で尿道の中から検体を採っていたのですが、最近では尿で検査をすることができます。(文献によれば感度の差が多少あるようですが)男性の場合は通常では尿を調べることで診断することができます。

 症状がない場合でもパートナーが陽性と言われた場合(妊娠、出産などでは検査をしますが)検査が必要です。

 おしっこだけを調べてほしい(外性器の診察を希望しない)場合は希望を尊重したいと思っています。初診の際にお渡しする問診票に尿道炎の検査、淋菌の検査、クラミジアの検査希望などと記載してください。