今年8月女性の頻尿、残尿感に有効というOTC薬(薬局で買える薬)レディガードが発売されました。この薬はどういう薬かというと私が医者になる前からある、塩酸フラボキサート(商品名ブラダロン)という薬で、男性、女性の別なく、頻尿の治療に用いていました。いい薬ではあるのですが、近年より強力な薬が次々と発売されたこともあって、泌尿器科医が処方する割合は減少傾向にあると思います。ただ強力な薬はおしっこを出にくくする心配もあって使うのに注意を要します。
この薬は成人女性専用をうたっていますが、男性に効かないわけではありません。ただ男性の頻尿には尿がでにくい初期症状である場合もあり症状を悪化させてしまうことを恐れて女性専用としているものと思われます。
この薬は1錠約100円~120円で売られているようですが、医療用の薬は(健康保険を別として)56.9円、ジェネリックは約40円で売られています。つまり薬代だけなら3割負担で12~17円、1割負担なら4~6円弱になるのです。もちろん、医者にかかった場合は診察料や処方料が必要なので錠数によっては薬局で買ったほうが安くなる場合もあるでしょうが、健康保険のことまで考えると効果があった場合、継続する場合は健康保険を使って医者にかかる方が圧倒的にやすくなると思います。他の病気が見つかったりするメリットを考えると薬局でこの薬を買うメリットはなんなのでしょうか。
長い間待つのがイヤ、自分の排尿の状態を説明するのがイヤなどというのなら、ある程度はわかります。ためしに薬局で買ってみて(ぜひ割高でも少ない錠数のものを)、効きが悪ければ泌尿器科へ行き相談、効きが良ければ泌尿器科に限らず近くの内科でもいって、フラボキサートを出してください、といっていただければよいと思います。長いことレディガードを飲むのに比べるとずいぶんお金の節約になるでしょう。
そうではなくて、「泌尿器科にいってパンツをぬがされるのがイヤ」と思って薬局に行くとしたらそれは大きな誤解です。おへその下に超音波の機械をあてて、残尿をみたりすることはありますが、頻尿の治療の主要な部分は問診と排尿状態を記録した日誌で行います。日々安くない健康保険料を払っていることを思い出して、相談していただけるのをお待ちしています。