あらためて頻尿について: 「たけしの家庭の医学」の放送を受けて

今週、たけしの家庭の医学で、”頻尿の「新原因」 膀胱の変形とアメリカで70%異常が改善した頻尿改善法” というテーマが取り上げられました。

膀胱の変形については、「頻尿の患者に対してMRIを施行してみると、腹圧をかけたときに膀胱がさがる患者が多いことがわかった」というものでした。頻尿についてMRIを施行するというのは健康保険では認められていませんし、他の(造影剤やエコーを使う)方法でそのような病態を持つ人を観察したことは別に新しいことではないと思います。現実にはもっとひどい膀胱変形が排尿困難につながることもあり、それを手術すると出にくくなってしまう、ということもあります。

また後半の「70%が良くなる治療法」というのは56人の患者を半分に分け、半分の方にヨガによる体操を取り入れたところ70%がよくなった、ということでした。この場合、「ヨガ以外の条件をそろえた対照群に比べてどれくらいよくなったか」というのが治療法の有効性を示す上で大切なのですが、残念ながら(というかテレビでは当然なのでしょうが)対照群の治療についてはなんらコメントはありませんでした。おそらく、対照群もだいぶよくなっているのでしょうね。

「頻尿」と一口に言っても、飲んでいる水分が多い多尿や、排尿困難によりタンクである膀胱がからにならなかったり、刺激があったり、たまったむくみが夜になって尿に変わったり、膀胱が緊張状態にあったりと、さまざまな症状と原因があります。開業したばかりの頃まとめたページもありますので、さかのぼってみてもらえればと思いますが。

頻尿があった場合、「それがどのような頻尿であるか?」という考察なしに、一律に効果のある治療などというのは考えにくいと思います。