2020年7月15日に「ガッテン!」で放送がありました。ご覧になった方も多いと思います。大筋は、「近年の研究により、夜間頻尿はふくらはぎのむくみにたまった水分が出てくることにより生じることがわかった。モデルになった男性は、弾性ストッキングをはいたり、寝る前にしばらく足を上げたりすることで、むくみを解消し、夜間頻尿を改善して、快眠できるようになった」というものでした。
頻尿だけでなく、夜間の多尿がみられる人で、夕方になると脚のむくみを感じる人(むこうずねを押してみるとわかります)は試してみてもいいと思います。実際外来で似たようなことを勧めることはあります。ただ、仰向けに寝転んで30分足上げをして眠らない、というのは私は無理だとおもいますので、ソファーでオットマンか(行儀は悪いですが)ローテーブルに足を上げてマッサージ、というのを勧めています。
まるっきり間違ってはいないとは思いますが、さきのコラムでも書いたように夜間頻尿はさまざまな要素が関与しており、水分の摂取量、カフェイン、飲酒、眠りの深さ、排尿障害による膀胱の刺激症状、膀胱の固さ・しなやかさ、残尿量、基礎疾患(糖尿病・高血圧・心臓病・前立腺肥大症など)など、関係する要素を挙げればキリがありません。
啓蒙は大切だと思いますが、「これさえやればもう夜おしっこに起きなくて済む」と、視聴者に過度な期待と誤解を与えてはいないでしょうか?
前にも書きましたが誰もが知らない画期的な治療法(新秘策などという名にふさわしいもの)はそうそうあるものではありません。面白おかしく語るひとがいたら話半分に聞いておくのがいいと思います。