大阪府知事の記者会見後、街からヨード系のうがい薬が消えたなどというのが話題になっています。ほとんど笑い話だと思いますが、この話は医療情報を考える上ではいい題材だと考え、取り上げました。
まず、発言者である大阪府知事は自分の発言の影響力を考えなければいけない、ということです。知事が『しろうと』であるという自覚がないとしたら、それを諫める側近や医療系の意見を進言するひとたちはいなかったのでしょうか。
そばに同席した医者と思われる人がいましたが、研究結果というにはあまりに貧弱なデータを『うそのような本当の話』というのをとめることはできなかったのでしょうか。
これに対するちゃんとした専門家の意見はコメントするには情報が足りない、という大人のコメントでした。そうするとひとびとの耳に届くのは先の(発信力のある知事の)過激な言葉ということになります。知事も驚いたのか、誤解を修正するという2度目の会見を開きましたが、これは十分届いたでしょうか? 過激な話、極端な話を修正するのは、話をした本人であってもなかなか大変です。
次に話の中身を見てみましょう。ほかの方もコメントしていますが、対照群は水もしくは他の薬でうがいをした人であるべきで、うがいをしていない人を対象とした場合、うがいに効果があったのか、イソジンに効果があったのかはわかりません。
後から言っていた「これは予防効果はなく、唾液中のウイルスに対するもので、その人からほかのひとへの感染を防ぐ効果がある」というのも、そんなことはわからないでしょうし、伝わらないと思います。
そもそも予防効果がなく、(現在までのところ)重症化を防ぐ効果もなく、コロナに感染した人から他の人に伝染させるのを防ぐ効果というのは、いま記者会見で大々的に言うことでしょうか? 誤解があったとしたら聞き手の問題ではなく、発言者の問題だと思われます。
わたしは吉村知事の積極的な施策には好感を持っておりこれからも頑張ってほしいと思っています。できれば要らないことを言って混乱させてしまいました、すみません、と言って謝り、また次の対策に向かっていただきたいと思います。